大気の構造といっても、大気を構成するものは目に見えない気体であり、その構造を明確な境界線によって表すことはできません。大気の圧力と密度は上空へ行くほど指数関数的に小さくなり、ついには惑星間物質と等しく、オーロラの出現する限界などから考えて、その上限はおおよそ1,000kmと推定されています。したがって、大気成分のほとんどが地球の半径の百分の1程度の薄皮のような部分に存在し、残りの0.1%が希薄な大気を構成し1,000kmまで続いていることになります。もし、大気が特別の構造を持たず、単純にその密度と圧力を高度の上昇とともに減少させるだけならば・その鉛直温度分布はもっと単純なものになるはずで、地球大気は性質の異なる層が何層か重なったような構造をしているものと考えられ、実際に次に示すような幾つかの層が地表面から順に存在するということになります。地表から約11kmまでの層は対流圏とよばれており、大気の温度は高度の上昇とともに減少していきます。ここでは日射によって地表面が加熱され、地上で温められた大気は対流により上昇し、上昇した大気は気圧が下がり膨張することによってその温度を下げます。対流圏では1kmにつき約6.50℃温度が下がります。大気が冷却されたとき、大気中に含まれる水蒸気が凝結し、雲となり雨や雪を生成します。我々が身近に接する多くの気象現象は対流圏における大気の動きによって起こっているのです。
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Date: 2016/10/04(火)
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