聞こえない騒音「低周波音」がもたらす体への影響
近年注目されているのが「超低周波音及び低周波音による体調不良」です。超低周波音は一般的な“音”としては感じ取れない、20Hz以下の周波数帯域の音で、主に風力発電による風車などから発生します。問題は、その音が耳に聞こえなくても、振動として身体に伝わる点です。耳鳴りや不眠、頭痛、胸部圧迫感など、症状は多岐にわたり、原因が分からず長期間悩む方も少なくありません。超低周波音は一般的な騒音計では測定が困難なため、FFT解析などを用いた専門的な測定が求められます。低周波音は20Hz超〜80Hz帯域の周波数帯の音で空調設備や給湯器、近隣の変電設備などから発生します。これらの騒音は、波形解析や周波数評価を通じて、こうした“感じるけれど測れない不快感”の見える化が行われます。
Date: 2025/04/28(月)


家庭内に潜む高周波電磁波とその評価・低減手法
住民から「Wi-Fiルーターやスマートメーターの電磁波が体調に影響しているのでは」といった懸念の声が寄せられていますが実際、家庭内にはRF-EMF(Radio Frequency Electromagnetic Fields:高周波電磁界)が常時発生しており、無線LAN機器、コードレス電話、Bluetooth機器、スマート家電などによって、曝露環境は日々複雑化しています。またこれは例え自室においてそれらの機器を全く使用しなくても隣室や隣家や基地局から同様の電波が入ってきます。これらの被害を低減するためにはシールド等の施工をする必要があります。特に、就寝環境における頭部近傍のWi-Fi機器や電気毛布の使用は、メラトニン分泌の抑制や睡眠の質低下との関連が一部研究で指摘されています。当協会では、高周波電磁波測定器および低周波測定器による定量評価を実施し、曝露源の可視化と共に電場強度・電力密度の数値的把握を行っています。これに基づき、機器配置の見直しや電源の遮断タイマー導入といった低減措置の提案を通じ、電磁的負荷の最小化を図っています。今後は、電磁環境のマネジメントも住環境設計における重要な要素として位置付けられるべきでしょう。
Date: 2025/04/21(月)


春の室内に潜むカビのリスクとその対策
春は気温と湿度が徐々に上昇し、室内環境にも変化が現れる季節です。とくに注意が必要なのが「見えないカビの前兆」です。カビは湿度が60%以上、温度が20〜30℃で急激に繁殖しやすくなります。浴室や脱衣所、押し入れ、そしてエアコン内部は特に要注意です。カビは胞子を空中に飛ばし、吸い込むことで気管支炎やアレルギー症状を引き起こすことも。早めの対応としては、湿度管理と換気の徹底、必要に応じた機器の内部清掃が有効です。私たち住環境測定士は、表面に現れない隠れカビの存在を各種測定機器で評価し、住まい手の健康を守る支援を行っています。家の中の「静かな異変」に目を向けることが、快適な暮らしへの第一歩です。
Date: 2025/04/14(月)


住環境測定における注意点
住環境に関し人体に影響を及ぼす要因は様々です。電磁波に関しては磁界の測定を要望される方、電界の測定あるいは高周波の測定、騒音、化学物質と単独に依頼されるケースがほとんどといえます。単独に測定を依頼するのであればそれぞれを専門とする測定者に依頼することになるのですが、本来住環境下における人体に影響を及ぼす環境把握に関しては総ての項目を把握できなければなりません。また住環境下における住まい方、生活習慣、年齢、性別などを考慮しながら疾病に至る原因を推定し解決策を模索しそれを一つ、一つ実行しながら結果を検証していかなければなりません。建物内には化学物質による汚染、カビ、ラドン、電磁スモッグ、騒音など、病気の原因となる他の要因が存在する可能性もあることを常に指揮しておく必要があるのです。したがって1 つの問題だけに焦点を当てるのではなく、全体的な意味ですべての健康リスクを可能な限り回避することが賢明です。
Date: 2025/04/07(月)


ヒートポンプからの騒音低減方法
ヒートポンプからの騒音を低減するための方法についての例示ですがまずポンプ等の騒音レベル(dB)が低いヒートポンプを選択してください(エネルギーラベルの情報をご覧ください)。 UBA によれば、55 dB (< 6 kW) 未満または 60 dB (6-12 kW) 未満の値のヒートポンプは特に静かです。自分の建物内や近隣の人に迷惑な騒音を起こさない場所を選択してください。ヒートポンプの設置場所と、ヒートポンプの空気入口と出口の位置を、自分の建物と近隣の建物から十分な距離を保ちます。理想的には、反対向きにします。寝室などの機密性の高い部屋やエリアは通常、道路から離れた場所にあるため、道路に向かって配置すると便利な場合がよくあります。 LAIはこの目的のためにガイドラインとオンラインアプリケーションを提供している[4]。屋内に設置すると、近隣に届く騒音は最小限に抑えられます (ただし、技術的な理由により、すべてのヒートポンプでこれが可能というわけではありません)。屋外ユニットをコンクリート、タイル、アスファルトなどの硬い床の上に置かないでください。砂利、芝生、樹皮のマルチなどの音が柔らかい表面が適しています。
デバイスを基礎の上に分離した状態で配置します(例:振動ダンパー、ゴム製分離マット)。
ヒートポンプの近くの音を反射する壁や部品を吸音材で覆います(低周波ノイズにはあまり効果がありません)。ファサードを緑化してもほとんど効果はありません。
必要に応じて、ユニットの前面の防音壁から、内部の音を吸収する完全に分離された防音フードまで、屋外ユニットを保護します。
振動を低減した設置と冷媒および水道管への柔軟な接続。
Date: 2025/03/31(月)


電磁波研究成果要約
ATHEM-3研究は、無線周波電磁場(RF-EMF)曝露がヒトに与える細胞遺伝学的影響、とりわけ染色体異常の誘発に関する疫学的調査である。本研究は高周波電磁場(HF-EMF)への慢性的かつ低強度な曝露に着目し、屋内・屋外環境に存在するEMF強度を定量評価したうえで、被曝群と非被曝群の比較分析を行った。
被験者はRF-EMF曝露の空間的・構造的要因を踏まえて層別化され、末梢血由来の生体サンプルに対して多重盲検法により細胞遺伝学的解析が施行された。その結果、曝露群において有意な染色体異常(例:二動原体染色体、切断点増加)が検出され、これらの異常は酸化ストレスによるDNA損傷を介して非電離放射線であるRF-EMFが間接的に遺伝毒性を示す可能性を示唆している。
これらの結果は、既存のin vitro実験及び動物実験におけるRF-EMF誘導DNA損傷の知見をヒト疫学研究においても裏付けるものであり、適応反応や耐性獲得の兆候が観察されなかった点も注目される。特に、染色体異常の程度が国際原子力機関(IAEA)の生物学的基準を超える事例も確認されたことから、非電離放射線による長期的・累積的なリスクの再評価が求められる。
また、無線通信システムの熱的作用以外の生物学的影響(いわゆる「非熱的効果」)の存在を支持する証拠として、規制基準における再定義の必要性が示唆されている。さらに、Wi-FiやDECT電話等の自己生成EMFが屋外基地局由来の曝露と同等あるいはそれ以上の影響をもたらす可能性も議論され、曝露源の多様性と複合曝露の問題が浮き彫りとなった。
本研究は、ALARA(As Low As Reasonably Achievable)およびALATA(As Low As Technically Achievable)原則に基づく曝露低減戦略の重要性、また将来的な光波通信(Li-Fi)技術への移行の必要性を政策提言として提示している。
Date: 2025/03/24(月)


携帯電話基地局付近に住む人々の酸化ストレスと遺伝的不安定性の評価その2
2024年、ドイツの携帯電話基地局付近に住む住民の酸化ストレスおよび遺伝的不安定性を評価した研究では、基地局から発せられる非電離放射線(RF-EMF)が長期間にわたり住民に影響を及ぼす可能性について調査されました。
主な研究結果
1. 酸化ストレスおよびDNA損傷
o 統計的に有意なDNA損傷や酸化ストレスの増加は確認されなかった。
o 一部の遺伝子パラメータにも影響は見られなかった。
2. 細胞遺伝学的損傷(染色体異常)
o 携帯電話基地局(MPBS)への曝露量が多い住民において、染色体異常の有意な増加が確認された。
o これらの異常は基地局からの距離とは負の相関関係を示し、LTEおよびGSM信号とは正の相関関係があった。
3. 遺伝的不安定性
o 染色体異常には以下の5種類が区別された:
 欠失:染色体の一部が失われる
 転座:染色体断片が別の染色体に付着
 重複:染色体の一部が2つ存在
 逆位:断片が逆向きに挿入
 挿入:染色体に追加のセクションが含まれる
研究の意義
• ICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)の制限を大きく下回る磁場強度でも、長期間曝露されることで染色体損傷が発生する可能性があることが示された。
• これにより、WHOの発がん性分類を現在の「グループ2B(おそらく発がん性あり)」から「グループ2A(より強い発がん性の可能性)」へ変更すべきか議論が進められている。
結論
携帯電話基地局から発せられるRF-EMFの曝露が、染色体異常の増加と相関していることが確認された。これにより、携帯電話基地局の設置や規制に関する公衆衛生上のさらなる検討が必要であると考えられる。
Date: 2025/03/17(月)


高周波におけるドイツの研究がIBN研究所に於いて告知概要
携帯電話の送信所が健康に及ぼす影響について議論が続く中、ドイツの研究によると、長期間の放射線曝露が染色体に有害な細胞遺伝学的影響を与えることが示された。これは、過去の研究で指摘されているがんリスクとも関連している。研究結果の要約や専門家によるレビューが提供されている。
ドイツで行われた ATHEM-3 研究(Gulati ら, 2024)は、携帯電話基地局からの放射線が健康に及ぼす影響を調査した。特に 酸化ストレス や 遺伝的不安定性(染色体異常) についての評価が行われた。
研究概要
• 対象: 24名(24〜63歳)を 曝露群(基地局から75〜160m) と 対照群(490〜1,020m) に分け調査。
• 電磁波曝露量:
o 曝露群: GSM 7〜295 μW/m², LTE 54〜804 μW/m²
o 対照群: GSM 0〜4 μW/m², LTE 0.1〜8 μW/m²
• 測定方法: 血液検査はブラティスラバ大学、線量測定は専門技術者が担当。
主な発見
1. 携帯電話基地局からの放射線は染色体異常を引き起こす可能性がある
o 長期間の曝露で染色体異常が有意に増加(特にLTE・GSM信号との相関あり)。
o がんリスク増加の生物学的メカニズムが示唆される。
2. 送信機に近いほど遺伝子損傷の可能性が高く、適応は起こらない
o 曝露時間が長いほど影響が大きい。
o 最低500mの距離を保つことが推奨(Pearce, 2019)。
3. 過去の研究を裏付ける結果
o Atzmon ら(2012)、Dode ら(2011)、Eger ら(2004) など、過去のがんリスク研究と一致。
本研究は、携帯電話基地局からの 電磁波曝露が健康リスクを伴う可能性 を強く示唆しており、基地局から一定の距離を保つ必要性があることを裏付けるものとなった。
研究により、RF-EMF(高周波電磁場)曝露がDNAに損傷を与える可能性が示された。特に、酸化ストレスの増加とDNA一本鎖切断の増加が確認され、非電離放射線(RF-EMF)と電離放射線が類似した作用メカニズムを持つ可能性が指摘されている。
過去の研究(Shiroff, 2008)やEMFポータルに掲載された30件以上の研究でも、マイクロ波放射によるDNAや染色体損傷が報告されており、国際原子力機関(IAEA)の定める制限を超える染色体損傷が確認されたケースもある。
この研究結果は、携帯電話の電磁波が生物学的に有害である可能性を示しており、Gulatiらの研究では、自治体におけるモバイル通信の管理と放射線リスクの最小化が求められると結論づけられている。法学論文(Bruckner, 2022)では、自治体は電磁波過敏症のリスクを考慮し、若者や特定の施設(学校、病院など)を保護する憲法上の義務があるとされている。
また、オーストリアの健康協会は2014年に**「送信機構築ガイドライン」**を策定し、モバイル通信管理のための指針を提供している。これは、国家が予防的リスク管理を行う必要性を示している。

Date: 2025/03/10(月)


現行ログ/ [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10]
キーワードスペースで区切って複数指定可能 OR  AND

**HOME**
000188
[TOP]
shiromuku(u2)DIARY version 2.72