NPO法人住環境測定協会は、シックハウスの予防・改善を目的とする事業者の協会です。
シックハウスの住環境測定協会■旅公演の日々

芝居の世界に入ってからほぼ四十年、テレビドラマも数年やったが、ほとんどを舞台活動で費やしてきた特に劇団四季のいた三十年は旅興行多く、長い時は三〜四ヶ月に及ぶこともあった。「ああ、植木は枯れるし、彼氏は逃げるし・・・!」と呟いた、後輩の女優の事を思い出す。舞台活動とはそんなものだという、諦めもあったが、家族持ちはそんな愚痴は言えなかった。久々に帰っても、翌日また旅に出なければならないこともあり、子供に「お父さん今度はいつ来るの?」と言われて、がっくりしていた仲間もあった。私も例外ではなかったが、そもそも人生そのものが旅だと思う意識が強かったせいか、旅の生活が辛いことでは全くなかった。どこかにじっと落ち着きたいとも思わないし、家に対する執着もあまりなかった。

■家は女のもの

昔の家制度があった時代には、家長が存在して家を守り継がなければ、一族郎党が路頭に迷うことにもなったが、今は全く自由である。封建社会でない限り、そもそも家というのは女のものではないかと、私は思っている。進入する外敵から家族を守り、獲物を持ち帰るというと、まるで原始人のようだが、本質的な男の存在理由は大して変わっていないだろう。結婚当初から家内の母親と同居しているが、これは楽でいい。家内も女優で頻繁に家を空けるが、母親との連係プレーで、私は何にも困った事がない。だから今の家を建て替える時要求したのは、原稿などを書く部屋と書庫のみ。酒飲み夫婦の共通の居場所としてバーの部屋はあるが、後は全て家内のテリトリー。台所や居間がどうなろうと、私には興味がなく、実質的な設計は家内一人に任せてしまった。

■しまった、これだけは

家内の設計プランを見て、「いやぁ、これだけコンセプトの多い家はありませんよ!」と建築屋が呟いた。掃除魔の家内は、家中至るところに掃除機用のコンセントを配置していたのだ。その段階では、「家は女のもの」という、私の持論通りだったから、文句をつけるつもりも全くなかった。しかしである、いざ生活が始まってみると、私用のコンセントが必要最小限にしかないことに気がついた。ファクスもパソコンも直接の電源が取れず、掃除機用のコンセントから、コードを引きなおすというお粗末な次第。
「しまった、これだけは!」と思っても後の祭り。家は亭主のものであると今更言っても、占拠されてしまった権利は生涯戻ってはこないだろう。

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